かぐれさんで開催されている“長雨の花“展より
季節のお花を少しだけご紹介させて頂きます。
まずは万葉の12ヶ月にも登場するあやめ。
暦がなかった時代には季節の花が農耕の指標でした。
稲作には水が必要で、雨を待つ昔の人たちはあやめの
開花で梅雨入りを知っていたと言われています。
現在のように安定した稲作が出来るようになったのは
科学技術が発達した今世紀に入ってからで。江戸時代
中期までは天候不順等による飢餓が発生していました。
その為、天候の指標となる季節の花を見つめる事の大
切さが生活に深く浸透していたのです。
日本人は、雪が解け桜が咲くと野に下り、花菖蒲の開
花で田植えの時期を知り農作に励むといった鋭い季節
感を養って来たのですね。
類をご用意しております。
そして露草。
万葉集にも詠まれていた、日本に古くから自生する植
物です。
朝に開花して昼にはしぼんでしまう事が“朝露”を連想
させるとして露草と名付けられたと言われています。
万葉集には「月草」と表記されており、この呼び名の
由来となったのは花びらの青い色が「着き」やすい事
から転じてつきくさとなったと伝えられています。
そういえば、露草を摘んで遊んでいると、手が真っ青
になったを思い出します。
花の青い色素は、色が着いてもすぐに退色するという
性質を持つため、染め物の下絵を描く為の絵の具とし
利用されていました。
開花時期が6月〜8月と長いため、秋の季語とされてい
ますが、水分を多く含む性質を持つ為、一番美しいの
は梅雨時期ではないでしょうか。
食用にもなる露草。若い全草をおひたし等で頂けます。
次回は紫陽花シリーズをご紹介致します。